|
と言わない。「本にはこう書いてある」って言ってくるやつもいるけど、本には「まだ起こっていないこと」は書いてないんだよ。やり方が存在しないことも、挑戦し続けていくうちに方法が見えてくる。重症で生まれてきたかもしれないけど、この先どうなるかは自分たちの努力次第。そう思って接しているから、俺が診ている子どもたちも、子どもたちの親も物事をあきらめない。「あきらめない」ことは立派な能力のひとつだ。考え過ぎずになんでもやってみる人こそが、「不可能」を「可能」にできるんだ。
|
ヒデ |
だから、先生はうちの両親に「なんでもやらせてみなさい」って言ってくれたんだね。先生が「ダメ」と言わなかったから、両親も、僕が「やってみたい」と言ったことに「ダメ」って言わなかった。おかげで僕は、やりたいことにどんどんトライできた。大学に進学し、一人暮らしをして、車の免許も取った。車椅子ソフトボールを始めて、大学院に進んだ今もプレイヤーとして活動してる。大会のために渡米もした。もちろんすべてがうまくいったわけじゃないけど、壁にぶつかる経験からも多くを学ぶことができたんだ。だから僕と同じような境遇の子には、最初からあきらめず、何事にも挑戦してほしいって伝えたい。
|
髙橋 |
挑戦といえば、ヒデは中学、高校と、野球部のマネージャーをやったんだよな。ヒロが野球をやってた影響を受けたのか?
|
ヒデ |
違うよ。その時の監督に誘われたからだよ(笑)
|
ヒロ |
お前さ、そこはオレの影響って言えばいいじゃん!(笑)
|
髙橋 |
マネージャーって縁の下の力持ちだろ。そうやって人を支える仕事を進んでするってすごいことだぞ。ヒロもすごいって思わないか?
|
ヒロ |
全然思わない(笑)。本人がやりたくてやっただけだし、むしろオレはずっと「ヒデはプレイヤーになれよ」って言ってたからね。ただ、オレも高校2年の秋、プレイヤーからマネージャーに転身した経験があって。やってみて、正直、大変だと思った。だからそれを中高6年間やり通したことは、ヒデにとっていい経験だったんじゃないかな。
|